「桜の精油はある?」母に聞かれて調べたら、なんと希少品でした。
今月と来月の「お話聴きますカフェ」
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桜の季節が近づいてきたある日、母に聞かれました。
「桜の精油ってあるの?」
「あるのかなあ……」
私の記憶が確かなら、ありません。あるとしても市販されるほどメジャーではないはずです。ですが念のため探してみましたら、近年、ソメイヨシノの花から精油を抽出したケースがあるようです。
「桜アロマ」をご存知ですか?
【香り】桜の香りの話①100%天然桜アロマと抽出技術、日本産精油の盛り上がり
100%天然の桜アロマというものは、これまで
抽出が不可能だと言われてきました。
しかし、日本で開発された新しい技術によって
100%天然の桜アロマが誕生。
この技術と言うのが、「低温真空抽出法」です。
難しい技術で抽出されているのですね。ソメイヨシノ精油の販売サイトは2021年3月末現在、発見できませんでした。日本でソメイヨシノはメジャーな植物ですが、精油を作るのは難しかったのですね。
バラとどちらが希少?
ソメイヨシノ精油は希少だという話をしたところ、母が呟きました。
「バラとどちらが希少なのかな」
バラ(ローズオットー精油、ローズアブソリュート精油)は希少精油の代表格で、希少さが話題になることが多いです。
ですが何百年もの間作り続けられていますし、流通量も多く安定しており、希少精油の中では大変メジャーな精油です。「お高いだけで、たくさん売っている精油」なのです。
それだけバラの香りを魅力に思う人たちが世界中に多いということですね!
それとそもそも作られていないソメイヨシノ精油では、ソメイヨシノ精油のほうが希少と言えるでしょう。
ちなみにソメイヨシノもバラ科の植物です。バラ科の植物は精油を採りづらいのでしょうか?
桜の花はどんな香り?
桜フレーバーの飲み物や食べ物はたくさんありますね。桜のような香りがする香水もあります。
ところで、それは「桜の花」の香りなのでしょうか?
「桜の香り」としてイメージするものは桜餅の香りではないかと思いますが、使われているのは葉ですよね。
精油は抽出部位によって香りが変わります。植物の中で、部位によって蓄えられている香り成分が違うのです。
特定の部位から精油を採る植物が多いですが、中には複数の部位から採られて、それぞれ別々の名前がつけられている精油もあります(例:ビターオレンジ・ネロリ・プチグレン)。
そう考えると桜の木も、花と枝と葉と幹と根と果実で別々の香りがすると考えるのが妥当ではないかと思います。桜餅の葉の香りと、さくらんぼの香りは違いますよね。
花見に行っても桜の花の香りを感じることはありませんが、いったいどんな香りがするのでしょう。
もし桜の精油を作るとしたら……?
もし桜の花から精油を採るとしたら、大変な作業になることでしょう。
年に一回だけ咲く花です。しかも木の上に、小さな花がたくさん。
一本一本はしごをかけて、木に登って花を摘むのでしょうか? それだけで気が遠くなりそうです。
ローズオットー精油を作るとき、バラの花は夜明け前に蕾の状態で手摘みしていくそうです。同じことを桜でやるとしたら、作業員の安全にも気を配らなくてはいけません。
それに、精油を作るための木は花見には使えないでしょう。桜の木が植えられていても桜の名所になることはないと思うと、日本人としては寂しいものがあります。
そういうことを考えると、桜の精油をどうしても作るなら葉や枝から採るほうが安定して生産できるような気がします。それでも花と枝葉の香り成分は違うと思われますが……。
その上、桜の精油を作るためには、冒頭でもご紹介しましたが、特殊な技術が必要だそうです。
バラの精油どころでない高価な精油になりそうですね。
おわりに
私たち日本人にとってメジャーな植物である桜。桜の香りをイメージした商品もたくさんあるというのに、その精油は思っている以上に入手が難しいことに気付かされました。
ほかにも「どうしてこの植物の精油はないのかな?」と不思議に思うものはたびたびありますが、やはり抽出が難しいのでしょうね。
次回は5月に「ショウブ(菖蒲)」のお話を更新予定です。よろしくお願いいたします。